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『THE SNAP SHOT』ワイズ出版

 写真はたとえ何げない街角の光景を写したものでも、撮る人間と撮られる人やモノとの間に、目に見えない微妙な思いのやりとりがある。現代の映像化社会はそんな交信を限りなく軽いものにしているのだろうが、それでも被写体の物腰や目線、たたずまいが読者に印象的に感じられるのは、まず写真家に何らかの自意識や感情の起伏を強くもたらしたからだ。被写体との間のそんな感覚のやりとりを感じさせる写真集。それぞれの作品のタイトルも場所も明記しないスナップショットだが、明らかに進行し連続する現代のさまざまな様子がそこにある。

 

東京新聞 (平成19年5月6日)

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